Golden Green

有賀耕平さん(大阪府出身)季代さん(東京都出身)
佐久穂町の西側に位置し、蓼科山や八ヶ岳にも近い、緑豊かな自然環境に囲まれた場所にGolden Greenはある。就農のきっかけは耕平さんの「農業をやりたい」という唐突な発言から始まった。耕平さんは農業から一番遠い存在だと思っていた季代さんは受け流していたが日に日に増える脱サラ農業の本に「これは本気だな」と感じ移住と就農を決めた。前職でベンチャー企業のコンサルタント会社に勤めていた耕平さんは、自然と共存する小さな集落の中にある畑で働く農家としての顔と、町の中心地にある役場で政策アドバイザーとしての顔を持っている。従来の農家としての働き方に捉われないワークスタイルを実践している。

未来に必要な技術は農業・初訪問の半年後には脱サラ

Golden Greenができるまでの経緯は?

標高1,000mの高原気候により昼夜の寒暖差が大きく、自然豊かな場所にある農場

耕平:佐久穂町に来たのが2008年ですので、今年で13年目になります。東京で働いていた頃、これからの地球の環境などを見据えたら、生き抜いていく力が欲しいなと思い、その一つが農業の技術だと考えました。

それでいずれは農家になろうと思っていた時に、ある人がのらくら農場(佐久穂町)萩原さんの野菜の凄さを語っているのを聞いて、すぐに萩原さんにアポイトメントをとって会いに行きました。直接話をして、萩原さんの働き方や考え方に魅力を感じたことと、佐久穂の街並みに好感を抱き、初めて訪れてから半年後には夫婦で引っ越していました。萩原さんはその頃、まだ従業員を雇っていなかったので、実質は一番弟子という形になると思うのですが、萩原さんの元で1年間学ばせてもらって独立しました。

独立後、鷽ノ口を拠点にした理由は?

実が詰まったトウモロコシ、さっと茹でて自然な味を楽しみたい。

耕平:鷽ノ口にある、就農を考えている人たちが住める新規就農センターに住んでいたので、地域の人との関係性ができていたというのが1つです。特にセンターの近くで花の栽培をしていた先輩農家のおじいちゃんが、明らかに失敗したというような野菜でも、「ほんとよく出来てるね」って常に褒めてくれたことに救われていました。そんな地域の人の人柄だったり、標高が高めなので野菜の栽培環境にも適しているという所が良くて鷽ノ口を拠点にしました。

奥様の丁寧な心配りがお客様との縁を結ぶ

個人宅配のみというスタイルでやっているのは何故ですか?

就農時から作っている大玉トマト。完熟で真っ赤なトマトは生でも火を通しても絶品

耕平:萩原さんがそのスタイルだったというのもあるのですが、僕らが農業で参入できるフィールドがあるのかと考えた結果、個人宅配なら参入の余地があると感じ、このスタイルでやっていくことに決めました。妻はお客様に合わせて野菜のセットを組んでいくことなどを全く苦にせずにやってしまう才能を持っているので、その辺も個人宅配に向いていると思っています。

季代:野菜がどうだったかの感想をお客様がメールで送ってくれるので、そこで反応の良かったものなどは翌年も作るようにしています。10年以上買ってくださっている常連さんも多いので、そういった声でがんばれているっていうのはあります。種から手塩にかけて育てたトマトはオススメですが、春菊や冬のカブあたりが個人的には好きで、春菊は生で食べてもらいたいです。

季代さんが野菜セットで気をつけていることは?

畑の近くや出荷場の周りを自由に歩き回るハル(犬)とニャンコフスキー(猫)

季代:お客様はわざわざ遠くから野菜を取り寄せてくれているので、配送の野菜と一緒に全員へ手書きで感謝の言葉を書いて入れています。そこで生まれるやりとりの中でお客様の好みや生活環境を知り、その方に合った野菜を詰めることもあります。

それと、無農薬農家ではありえないことですが虫が大嫌いなんですよね。だから野菜には虫が絶対についてないように歯を食いしばりながら処理しています(笑)。未だに嫌いですが素手で触れるようにはなりました!でも、虫に免疫のない都会のお客様は「無農薬野菜なのにこんなに虫のいないピカピカの野菜はみたことない」と喜んでいただいています。私たちは都会にずっと暮らしていたので都会に住む人たちと思いや考えを共有したうえで出来るサービスは何か考えながら提供するようにしています。

農業だけに縛られない半農という柔軟な働き方

この地域の農家としては珍しく、本格的な半農半Xというワークスタイルをとっている耕平さんですが、佐久穂町役場で働き始めたきっかけは?

耕平:引っ越してすぐ農業を始めたので、暮らしと仕事に慣れることが並行して、最初の頃は厳しい時期がありました。肉体労働が初めてなうえに、作業効率も悪かったから一日中動き回ってくたくたになっていました。それでも少しずつ売り上げが伸びていき、生産も安定してきたので、次の段階を考えたときに、ウチの生産規模や作業体制では売り上げを倍にしていくのは難しいので、農業以外のスキルを活かそうと思いました。

前職の経験から、それまでに農家仲間のコンサルティングなどをしていた時もありましたが、役場から、地方創生の戦略会議を立ち上げるので農家の代表として参加してほしいと依頼されました。そこでの成果がきっかけで佐久穂町の政策アドバイザーになりました。

季代:前職時代の夫の活躍を見ていたので、持っているスキルを町のために使っている今のワークスタイルは合っていると思います。いつも生き生きしていますし、その姿を見て私も地域のために何かしたいなと思い活動を始めるようになりました。

マルチに働くことの大変さや、上手く農場を回していくコツがあれば教えてください。

耕平 :一日中農作業をしていた時は、下手をしたら1週間は妻以外の人と話さないくらい畑に籠っている生活を送っていました。唯一、Facebookで東京の友達と連絡していたことが救いでしたね(笑)。なので、肉体労働と頭脳労働を半々でやっている今の方が常にリフレッシュした状態ができていて、非常にバランスがとれた働き方になっています。

種から手塩にかけて育てたというトマト

今、一日中農場にいるのは妻なので、妻が農場長です(笑)。自分が抜けたところは、勝手をよく知っている信頼のおけるパートさんが1名と、収穫期にはもう1名手伝ってくれる人がいるので、それでうまく回っています。夫婦間の分担としては、昔から完全分業制をとっているので、どうしても一緒にやらないといけないことだけを事前に共有しています。決まっていることは、機械を使う作業は自分で、出荷作業や種蒔き、育苗などの細かい作業は妻の担当ですね。気持ち的なことで言うと、不意に思ったことを口にすると喧嘩になりやすいので、ちゃんと会議の場を設けて、「Golden Green最高会議」と呼んでいますが、そこで思ったことを話し合うことでウチは上手くいっていると思います。

季代さんはその辺はどう考えていますか?

トマトを収穫する季代さん

季代:今は夫がいてもいなくてもあまり大変だとは感じなくて、むしろいない方が楽かも?(笑)。というのは、夫が政策アドバイザーで働き始めた当初は、無理をして頑張っていたのですが、1月の厳しい寒さの中での出荷を止めてみるとか、色々と割り切って考えるようにしました。

その時間を少しずつですがお互いのやりたい時間に充て、私は地域の人とダンスや楽器演奏をしてみたら生活がより楽しくなり、仕事のリズムもよくなりまし
た。


Golden Green

  • 基本情報
    • 所在地 南佐久郡佐久穂町畑7106
    • T E L 0267-88-2583
    • M A I L email hidden; JavaScript is required
    • H P https://goldengreen.jp
  • 取り扱い商品《旬の野菜セット定期便》
    • 週に1 回、隔週に1 回、月に1 回のペース。
    • S サイズかM サイズを選べる。
    • お届けは6 月~12 月
    • きゅうり、スナップ、さやいんげん、トマト、ビーツ、ズッキーニ、スイスチャード、人参、トマト(麗夏)など50 品種くらい栽培。
    • セットには耕平さん作成のお便り、季代さん作成の野菜の保存方法、栄養、おすすめレシピが書いてある野菜の紹介文と、手紙が添えられている。
2021年9月7日