Toe’s company

清水 博人さん(小諸市滝原出身)
就農前は都内で化学メーカーのコスメティック部門の営業をしていた。健康と美容に携わり知識を培っていくうちに、外見の美や健康だけではなく、食を通じてのインナービューティーという観点から農に繋げられないかと思い、日本人のアイデンティティともいえるお米の食文化を活かそうと思い米作りを始めた。お米から得られる美と健康を高めるために適した栽培とは?その答えとして選択したのは「自然に抗うことなく共存する」ということだった。そして、自然と生き物が共存し、生きていくという共通の目的に全力で向かっている風景は、一つの神輿をみんなで担いでいるお祭りのようだと清水さんは語ってくれた。

美と健康を高めるお米

なぜ米農家に転職したのですか?

農家になった一番の理由は昔からお米が好きということです。そのお米を使って健康のための商品を作ってみたいと思っています。お米は汎用性が高く、主食としてだけではなく、日本酒や酢の原料になったり、餅や煎餅、粉に加工したりと幅広い用途で普及しやすいというのも理由の一つです。そして両親が兼業でお米を栽培していたので身近に栽培環境があったのでお米をメインに栽培していこうと考えました。

米と健康が結びつくものとは何ですか?

前職では化学メーカーのコスメティック部門で働き、美について学んでいるうちに外見だけではなく、体の内側から美しくしていくインナービューティーに興味を持つようになりました。人の体内では活性酸素が発生していて、これが老化の進行やがん、生活習慣病の原因となる酸化を進めます。活性酸素による酸化を抑えることを抗酸化と呼ぶのですが、この抗酸化力を食を通じて、特にお米から得るための栽培方法を考えるようになりました。

植物の抗酸化力を高める環境とは

どのような栽培をすれば抗酸化力を高められるのですか?

私が考える方法としては、植物本来の力を最大限に発揮させるということです。植物も酸化をするのですが、厳しい環境の中で酸化を抑えながら生き抜こうとすれば抗酸化力は高まっていきます。いろんな要因に負けずに成長していける環境を用意してあげるようにしています。どういった環境かというと太陽や水、土などの自然環境と動植物などの生物が共存していて、その中で生き抜いていくために全力で生きていけるような場所づくりをしています。なので、うちの田んぼを見ていただくと雑草が生えていたり、生き物がいたりします。 緑肥のための雑草として稲刈りの後にカラスノエンドウというマメ科の草の種を撒いて翌年の春までにある程度の背丈に伸ばしておく必要があります。気温や水温が低いこの土地は稲刈りも遅いので、この種を撒くタイミングが重要となってきます。

それと種を撒いた後に乳酸菌を与えることで多少寒くなってきても芽が出やすい環境を与えています。この緑肥づくりに一番気を使っていると思います。 自然のままに育てるというのは放置するのとは違い、子育てもお米栽培も同じだと思っています。育て方の教本などを見て知識は得るけど、それが必ずしも当てはまるわけではなく、それぞれの個性や生き方に合わせて、どこまで手を差し伸べてあげればいいかのバランスを毎年お米と向き合いながら考えています。

毎年変化する環境や気候にベストな方法を探り続ける

抗酸化力の高いお米というのはどうやってわかるのですか?

抗酸化力は数値で表すことができて、その数値などを競う栄養価コンテストも開催されています。そこに毎年出品して数値を見ていますが、年々上がってきているのを数字で実感しています。

2019年の米・食味分析鑑定コンクールの部門別で入賞をされていますが、その時から栽培で変えていることはありますか?

過去にうまくいったからといって、その方法が毎年当てはまるわけではなく、環境や気候も年ごとに少しずつ違うので、今までの経験をその年の気候などに当てはめてやり方を変えたりしています。具体的なことでいうと、微生物や細菌を育てて土壌の活性化を促すために、十和田石という多孔質な石を入れて、多くの微生物がそこに留まって働いてくれるようにしています。

常に自然と隣り合わせの作業では、ハゼ掛けした稲についたカマキリの卵も圃場に返し、益虫として活躍させたりと様々な生き物と共存して、祭りを盛り上げている。

Toe’s company

  • 基本情報
    • 代表  清水 博人 
    • 従業員 2 名
    • 所在地 小諸市和田154-10
    • Mail email hidden; JavaScript is requiredy
    • URL www.toes.company
  • 栽培品種
    • ミルキークイーン
    • コシヒカリ
    • いのちの壱
    • アジアのかおり
2022年12月3日