活躍できる場所を求めて
「生まれてからずっと東京で暮らしていたのですが、なんだかあんまり活躍できてないな、という気持ちがずっと強くありました。仕事を探していたとき、たまたま立ち寄った銀座 NAGANOで見つけたのが、佐久市地域おこし協力隊の募集でした。」
そう語るのは、長野県佐久市で地域おこし協力隊として活動中の石田諒さん。東京都文京区から単身移住し、長野県での生活は二年目に入っている。
佐久市望月のNPO法人、未来工房もちづきに所属し、地域のイベント支援や、佐久市の観光・移住に関するPRを主な活動としている。
「映像や写真、それから文章を扱う仕事に興味がありました。いまは自分のスキルをフルに活用し、動画や写真での地域イベントの記録や、フェイスブック等での情報発信につとめています。この仕事に就いてみて、人の役に立っている、活躍できている、という実感がとても強いです。」
佐久の地で見出した『古民家再生』というキーワード
現在は《信州古民家再生プロジェクト》の代表のひとりとしても活動する石田さん。空き家物件の見学会やゲストを招いての座談会などをチームで企画運営。東信地域に広く、古民家好きのコミュニティを形成している。
「地域おこし、地域活性。それってどういうことなんだろう、移住してからずっと考えていました。ある日のこと、フェイスブックに『古民家リノベーションやってみたい』と投稿したところ、たくさんの反響があって、これはチャンスかもしれない、と感じたんです。そこで一度、古民家リノベーションについて考えるイベントを打ち出してみたら、連鎖的に仲間が集まっていき、あれをやってみよう、ここを見に行ってみよう、あの人に話を聞こう、と一気に波に乗った感じです。」
最近では、お寺の蔵の片付けをイベント化して地域交流の場をつくり、同時に専門家の目による蔵内の古道具鑑定を行うなど、信州古民家再生プロジェクトの動きは活発だ。
地方には高齢化・過疎化の問題があり、佐久市望月地域も例外ではない。石田さんは「僕らのような移住組の若い世代がフットワーク軽く地方を楽しみ、広く情報発信することで都市部からの人の移動につなげたい。古民家再生もその手段のひとつ」と語った。
地域おこし協力隊とは?
2009 年にスタートした総務省による制度。人口減少や高齢化等の進行が激しい地方において、都市部から人材を受け入れ。その定住・定着を図りながら、地域力の維持・強化をすすめることを目的とする。
2017 年現在、全国に約4000 人の隊員がいる。