あとくら農園

的埜 大介さん
東京都出身。宮崎県の大学を卒業後、小海町に移住し農業を始めて24年目。
山登りが好きで、農園の名前も家の裏にある阿登久良(あとくら)山から付けたという。就農した頃は有機農業がまだ珍しく、町に数件しかなかった。いろいろな失敗や経験を経て、今では「こうみゆうきちゃん倶楽 」という有機栽培の生産グループをつくるほどになる。さらに昨年から息子の渓(けい)さんも農業を始めた。

八ヶ岳の麓で有機農業を

今年で就農24年目ということですが、小海町に来たきっかけは? 

八ヶ岳一帯が見渡せる
畑の後ろの阿登久良山

昔から山登りをしていて、八ヶ岳があるこの地域が特に好きでした。このあたりで農業をやりたいなと考えていた時に、妻のお父さんの知り合いが小海町にいることがわかり、今の住居などを紹介してもらいました。ここに元々住んでいた方が花農家で、花の栽培の設備が整っていたこともあり、最初は花と野菜を栽培していたのですが、花は冬花だったから暖房費が掛かるということと、農薬を使わないとなかなか綺麗に栽培できないので、すべて野菜に切り替えました。

なぜ、有機農業を選んだのですか?

高原での栽培に向いているモロッコインゲン。軽井沢のスーパーで人気の品。

大学の時に環境問題に興味があって勉強していたので、環境への負荷が少ない有機農業を選びました。大学の頃に住んでいた宮崎県綾町は「有機農業と工芸の里」というスローガンを掲げていて、町で有機農業を売り出していたから、そこで有機農家さんと知り合っていろいろ教えてもらったことも野菜作りのきっかけになったと思います。

小海町で就農した時は有機農家が少なかったということですが、苦労されたのでは?

休耕地だった場所を丁寧に土づくりをして栽培している甘長唐辛子。自然に育てられ、虫との戦い残った唐辛子はほのかな甘さと、後に残る爽やかな苦みがある。バーベキューに最高。

土地で苦労したとは特に感じていませんが、技術的な面や知識がないという苦労はありました。その辺は、農業関連の業者さんに近辺の農家さんを紹介してもらって見学したり、企業が主催している勉強会に行ったりして知識を増やしていきました。それが活かされて、手ごたえを感じられるようになったのは6〜7年目ですね。

多品目栽培されていますが、特に力を入れている野菜とかはありますか?

春は葉物やスナップエンドウ、夏は5種類のミニトマトやモロッコインゲン、スイートコーンがあります。スイートコーンは新鮮さと甘さが好評で一番人気ですね。あと人気のある春菊は通年で栽培をしようと思っています。

無農薬へのこだわり : 虫は虫に退治してもらう

 農薬を使わないための工夫などはありますか? 

トウモロコシ

害虫がついた時はその虫の天敵となる虫に退治してもらうようにしています。どういうことかというと、アブラムシが葉っぱについてきたら、テントウムシに食べてもらうというようなことです。そこで、天敵の生息地(バンカープランツ)を作るために、草刈りをする時もあえてクローバーなどの丈が低い草を残しておくようにしています。

昨年から農業を始めた息子の渓さんにもお話を聞きました。

トウモロコシの下に張り巡らされているハクビシンやタヌキ除け。外敵であるが、美味しさを知っている一番身近な存在でもある。

子どもの頃に畑を手伝っていた時には、親の苦労とかも見ていたので「畑はやらない」と思っていました。料理の仕事をしていたのですが、自社農園を持つオーガニックレストランで働いてる時期があって、そこで週に1〜2回、畑に行くことがあり、久々に農作業をしたらもっと農業をやりたくなったというのが始めた理由になります。1年目は漠然とした中でやっていたので、今年は昨年よりも楽しめてやれています。特に、飲食店で使ってもらって、直接感想を言ってもらえたり、こちらからもこんな風に使ってもらえればみたいな提案ができることを楽しんでいます。ゆくゆくは今までの経験を活かしたことをしていきたいという想いはあります。

取引先であるシズラーの顧問である藍原敏朗さんに、こうみゆうきちゃん倶楽部との出会いや、野菜の魅力について聞いてみた。シズラーは関東圏で展開しているアメリカンスタイルのレストランである。こちらでは人気の「プレミアムサラダバー」でこうみゆうきちゃん倶楽部の野菜を取り扱っている。

こうみゆうきちゃん倶楽部との出会いは? 

確か2005年だったと思いますが、青果物のお取引先様からこうみゆうきちゃん倶楽部様をご紹介いただいたのがきっかけです。現地にお邪魔して視察や試食をさせていただいたり、メンバーの方々から野菜づくりに対するこだわりや熱い思い入れなどを伺い、私どもとしては是非ともお取引をお願いしたい、ということでお付き合いさせていただくようになりました。

サラダバーに並ぶ「こうみゆうきちゃん倶楽部」のこだわりの野菜。

圃場から私どもの店までどのようにして野菜を運ぶか、という難しい課題がありましたが、こうみゆうきちゃん倶楽部の多大なる努力とご協力を賜り、流通も可能になり運営が始まりました。納品いただく期間は、例年7月中旬から9月末くらいまでの短い期間ではありますが、ズッキーニ、ナス、トマト、とうもろこし、いんげん等々、約10〜15種類の野菜を毎年納品していただいています。

こうみゆうきちゃん倶楽部の野菜の感想やお客様の反応はどうですか?

私どもはサラダバー&グリルというコンセプトのレストランですが( ※詳しくはシズラーのホームページを参照。)毎年納品していただく期間中は、今月のお勧め野菜としてこうみゆうきちゃん倶楽部のポップなども掲示し、サラダバーにてお客様に生のままで、あるいはさっと茹でたりして提供させていただいております。お客様からは、味が濃い、鮮度抜群、甘くておいしい、みずみずしい等々、お褒めの言葉をたくさんいただいております。

あとくら農園

  • 基本情報
    • 的埜 大介
    • Mail email hidden; JavaScript is required 
  • 取り扱い商品
    • 葉菜類、果菜類、豆類、スイートコーンなど、旬の野菜を無農薬、無化学肥料で。
  • 販売先
    • ツルヤ、シズラー、レストランへの直接販売など。

2021年7月5日