磯村 聡さん :
埼玉県川越市育ち。子どものころから母親の実家である佐久市内山にたびたび訪れる。ネイチャーガイドとして働いていたが、東日本大震災のあと、生活や生き方を考えるようになり、佐久市へ引っ越してきた。農業経験がなく、ゼロからのスタートで5年が経った。自然環境を大事にしたいという思いもあり、自然に優しい環境循環型の農法でやっている。また、自然や田舎を体験してもらえるような農業を提案している。奥様の二葉さんはイラストレーターの傍ら農作業のお手伝いもしている。
自然と調和する農園
農園の特長と主力の作物は?
特に力を入れているのは、とうもろこしとミニトマトです。最初からそうだったわけではなく、お客さんの反応がよかったということと、自分ではこの2つは作り方や環境で味の違いが出やすいと思っているので、素材の美味しさを感じやすいこの2つに力を入れています。とうもろこしは特に鮮度が求められるので、直接送れる宅配や体験などで美味しさを感じてもらえればと思います。後はお米ですね。
栽培の特長としては畑の土にはキノコを育てた後の培土、もみ殻、おがくずなどを加えています。土の中で微生物たちが心地良く働くことで、ふかふかで豊かな土が生まれ、肥料を使わなくても野菜たちはすくすく育ちます。田んぼでは、農薬・化学肥料・除草剤は使用していません。化学肥料の代わりに、刈り取った稲わらと米ぬかをまいて、微生物によって豊かな土壌になるようにしています。豊かな土壌は、化学肥料の助けを借りることなく、稲を育んでくれます。
「農業体験」を行っているということですが、内容を教えてもらえますか
田んぼと畑の両方でやっているのですが、畑は種まきから収穫まで、田んぼは田植えから稲刈りまでを行って、収穫したものをみんなで食べるといった、ごく普通の作業をみなさんに体験していただいています。昨年までは工程ごとに参加者を募っていましたが、今後は種まきから収穫までを一貫して行ってもらおうと思っています。農業体験を始めたのは、自然に携わる仕事をしていたことを活かし、人の営みでできた環境と自然との調和を感じられる里山を知ってもらいたいというのがひとつです。
また、里山の環境を守りたいという気持ちでいるので、それを一人で守り続けるよりも、いろんな人に体験していただき、多様な生物がいる素晴らしさ、そこでとれる作物の美味しさを感じてもらいたいと考え、体験を行っています。参加者の中には普段は虫が苦手だけど、土から出てくるクモやミミズは大丈夫だったなどの声もあり、自然との調和を楽しんでもらっているんだと実感しています。
自然体験や交流ができる 《行きつけの田舎》
農業のほかにも前職でもあった自然ガイドやアウトドアアクティビティのインストラクターをやられていますが、どんなことをやっているのですか
始めは農園の近くでできる自然体 験をやっていました。最近は、内山キラキラプロジェクトというグループで岩巡りウォーキングとか内山の夜を探検するナイトウォークをやっ たりしています。自分自身が子どもの頃にやって楽しかった想い出の延長線上のようなことですが、それを 自然体験が少ない子どもたちに体験してもらいたいですね。
こういった経験は農業に影響していますか
県外への納品も結構あるのですが、今は送料も上がっている中で、こちらに来てもらうという選択肢もあるのかなと思います。そうすることで、単に野菜の売買だけではなく、田舎のおじいちゃんの家に来たような感覚で、地域の人と交流したり、自然体験をしたり、遊んでもらえるような「行きつけの田舎」になればいいなと思います。
体験などは地域の人とも協力して、地域に経済効果が出るようにしていきたいです。今やっている農業体験はその一環だと考えています。今は野菜の生産が仕事の8割くらいですが、体験活動と半々にしていきたいですね。生産部門と体験部門みたいに。
地域資源をいかし次世代につなぐ
かなり地域を意識されていますね
僕はこの地でずっと暮らしていきたいので、そのためには地域も生き続けないと住めないと思ってます。
地域の人と一緒に何かをやっていきたいというのは常に考えています。
地域の人の考えも尊重しながら、その中で次の世代にここでの楽しい暮らしや、資源を残してあげられるようにしていきたいです。
つながり自然農園
- 基本情報
- 代表 : 磯村 聡
- 従業員 : 2名
- 所在地 : 長野県佐久市内山
- 取り扱い商品
- 多品目の野菜、米、オリジナルイラスト付きギフト米
- 販売先
- 宅配業者、個人への宅配、飲食店、オーガニック食品を扱っているお店など
- 野菜の販売、農業体験の問い合わせ
- ホームページ : つながり自然農園
- 活動報告、イベントの告知