Farm めぐる

旧望月町の中にある農業地帯、春日・長者原エリアに就農6年目のFarm めぐるはある。

戦後、土地を求めて開墾をしていった先人たちの意思を引き継ぐかのように、今だに木を切り倒し、土を起こして開墾をしている。来春の出荷に向けて。

自分が生きていて気持ち良い土地で、楽しんでやれる仕事。

なぜ開墾をしてまでこの地で農業をしているのですか?

色とりどりの大根を使っての『切り干し 大根』作り。
色とりどりの大根を使っての『切り干し
大根』作り。

農業研修で春日に来て、そこで最初に畑を貸してあげると言ってもらえたのが長者原だったんです。野菜を作ってみると、モノづくりに適した土地だってことに気づいたんです。技術があっても土地の性質を根本から変えるなんて無理ですよね。

遥か昔からのことなので。だから、たまたまこの土地に来たけど、それは何かの巡り合わせだと思ってます。

市街地からは遠いから不便さはあるけど、野菜作りや子育てにはとてもいい環境だし、自分が生きていて気持ち良いので土地への愛着は湧きました。

農業をやろうと思ったきっかけは何ですか?

先までピンとのびてハリのあるインゲン
先までピンとのびてハリのあるインゲン

記憶を紐解いていくと、小さい頃に母親と家庭菜園をした記憶があるんですよね。そこで興味の芽が出たのかなと。

その後、二十歳の時に川上村の農家にアルバイトに行って、仕事自体はメチャメチャきつかったんですけど、終わった後に毎日、夕暮れの小川の脇道を歩いて、駄菓子屋にアイスを買いに行ってました。その時の景色が清々しいんですよね。その気持ちが残っていたので、それが直接の要因になったと思います。

その後、十年間国税庁で勤めてからの転職ですが、転機は?

もともと国税庁でしっかりやろうと思っていて、五十歳くらいで田舎暮らしでもと考えていたんですが、そのタイミングが思いのほか早かったんですね。それは結婚して子どもが生まれて、色んな優先順位が変わったんでしょうね。妻にはいずれ農業をやりたいことは伝えてあったので、「あなたが楽しんでやれる仕事をやってほしい。」という言葉が後押ししてくれましたね。

「まじか!」「やばい!」

就農して生活環境が変わったと思うんですけど、きつかったことはありますか?

『寒干し大根』茹でて下ごしらえした大根 を、竹串にさして一ヶ月程干す。近所の人が やっていたのを見つけて、根掘り葉ほり聞き、 自分でも調べて完成させたという。
『寒干し大根』茹でて下ごしらえした大根
を、竹串にさして一ヶ月程干す。近所の人が
やっていたのを見つけて、根掘り葉ほり聞き、
自分でも調べて完成させたという。

寒さですね。「まじか!」って思いました。生活の変化は、もともと転勤が多かったので順応力はあると思います。一番は娘が引っ越してきたその日に、「となりのおばちゃん家に遊びに行ってくるね!」と言ってすぐに馴染んでくれたのに助けられました。地域の人には今もよくしてもらっています。

農業に関していえば「雪」ですね。めったにない大雪でハウスが潰れた時はきつかったですね。ただそれが転機になって、そのタイミングで野菜のセット販売をやめたんですけど、そこに入れていた「めぐる便り」は続けています。不思議とみなさんお便りを楽しみにしてくれています。

年々拡大してますね

最初は「畑貸してください。」と何遍も言ってましたけど、何年か経って実績も出てきたので、こいつなら任せてもいいだろうと思ってもらえたのではないですかね。

作業場も、もともと使っていた場所が使えなくなって、「今年はやばい!」と思って、今は使用していない酒蔵の地主さんに、駆け込み寺ではないですけど相談に行ったら、相当、悲壮感が漂っていたんでしょうね「使ってみるか?」と言っていただけたので、結果的に設備の整ったいい場所を使わせてもらっています。

それぞれのターニングポイントで助けてもらったのは大きかったです。

日々の積み重ね

生産するうえで意識していることはありますか?

冬に行われた開墾。来年の春にはここが 畑に変わる予定。
冬に行われた開墾。来年の春にはここが
畑に変わる予定。

適したタイミングでの作業を日々積み重ねるということです。毎日の観察の中で、作物や畑の様子を的確に掴むことを農家の中では、「野菜の声を聴く」という感覚なんでしょうけど、それが第一で、そのうえで消費者が何を求めているのか、自分たちが目指す形にもっていくにはどうすればよいのかを考えて作業しています。ですから、消費者に届くまでの状態を意識すると、野菜の声を聴かないようにすることもあります。

事業としてやる以上は生産だけでなく、販売を意識しなければいけません。限りある人・モノ・お金をコンスタントに回す(めぐる)時期と量を考えているので、同じ畑の同じ品種の作物でも時期によって、味や状態のまるで違うものができますよ。

そこが各農家の個性が出る部分だと思うので、消費者の方がそれを知って農家を選ぶという世界が描けるかもしれませんね。


Farm めぐる

  • 基本情報
    • 代表 : 吉田 典生
    • 従業員 : 6 名
    • 所在地 : 長野県佐久市春日720-25
    • Mail : email hidden; JavaScript is required
    • Facebook : http://www.facebook.com/farm.meguru
  • 取り扱い商品
    • 山菜、山うど、レタス、インゲン、ズッキーニ、ほうれん草、大根、人参、切り干し大根、寒干し大根、ニンジンジュース、トマトソース
  • 販売・卸先情報
2017年8月1日