#06 副島優輔 長野県南佐久郡佐久穂町

父親になり変化した価値観

「佐久穂町に移住する前は会社勤めのマンション暮らし、 いわゆる都会的な生活スタイ ルを送っていました。それが 当たり前でしたし、不自由さも特には感じませんでした。 でも、父親になったことで状 況が変わっていきました。集合住宅での暮らしでは子どもが自然のなかで思い切り走り回れるような遊び場が身近にほぼ無く、休日ともなれば近 所の公園やショッピングセンターはたくさんの人で大混雑。自分は仕事に追われ、妻 は日々の生活で疲弊していきました。そうしているうちにだんだん『ここで子育てしてていいんだっけ?』と考える ようになったんです」

家族のため、安心できる暮らしを求めて移住を決意した 副島さん。「自然豊かで、コ ミュニティを大事にできる、 人口2万人以下のまち」とい う条件にピタリとハマった佐久穂町に拠点を移した。

「いざ移住してみれば当然、 家族全員『転校生』の状態。 ここが無縁の地であることを 実感して、最初はさみしかったですよ。集落にあたたかく迎え入れてくれて、野菜を分 けてくれたりした方々には本当に感謝しています」

共通の体験が良き関係性を築く

「佐久穂町で生活を始めてか ら感性が変わったような気がします。健全になったとい べきか、いままで興味のなか った、花や小鳥に目がいくようになったんです。人間の本来の心を取り戻したのかもしれませんね」

豊かな環境で移住支援員の役に就いてからは、自身の経 験を活かしながら地域の声に応える活動を展開。町内の求人情報の「見える化」や、同 じ目線に立っての移住者食事 会などを企画した。なかでも、役場の若手職員らと制作 した町のPR動画 “さくほっ手?” は『ふるさとCM大 賞NAGANO2018』で大賞を受賞し、話題をさらった。

「映像制作など、地域内での共通体験の場を提供すること で、良い関係性を築きたいで す。住民同士が本音で対話できる空気感が、地域の魅力の 向上に繋がると考えていま す。今後はそのサ ポート役にも力を入れていきます」

2019年5月20日