ジャパンプキン

ジャパンプキン

代表取締役 大塚 悠さん(佐久市臼田出身)    
役員 宮澤 祐貴
さん(佐久市臼田出身)

地元の同級生によって設立された会社は今年で3年目になる。二人とも実家が農家ではあるが、家族経営ではなく会社経営の道を選んだ。そこには、はるか昔の先代の人たちが継いできた農地を維持したいという想いと、これからの農業を活気あるものにしていきたいという志がある。
3年目にして、かぼちゃの耕作面積は30haまで広がった。佐久広域でも、大きなコンテナいっぱいにかぼちゃを積んだ軽トラックを目にする機会が多いことだろう。この地域で次世代の農業を担う日本のかぼちゃ農家が、「ジャパンプキン」だ。

小学校からの同級生同士での会社設立

お二人が育った環境と、会社設立までに至った経緯を教えてください。

1かぼちゃ畑
一面に広がるかぼちゃ畑。数ある畑 の中でもお気に入りの一枚。

大塚・東京の大学に通って、就職活動の時に何十社もの会社を受けて、苦労した割には、そこまでして働きたいと思える会社がなく、父親が農家をしていたので、とりあえずそこで働くようになりました。

宮澤・実家がプルーンと米を作っているんですが、私は違う業種で働いていました。そこをやめるとなった時に、地元に帰ってきていた大塚と会い、自分で農業をやっていくという話を聞き、一緒に会社を設立することになりました。

農業を始めて見えてきた休耕地問題

大塚・最初はそんなに深く考えていなかった農業も、やっていくうちに色々と見えてくるものもあり、考えさせられました。
その一つとして、佐久市の農地は6000haくらいあるのですが、生産者の高齢化率が高く、70歳以上のかたがかなりの割合を占めています。このままいくと自分が50 代になったら、就農人数はさらに減っていくだろうと予測されます。そうなった時に高齢のかたが引退した畑をだれが耕すのかという問題もでてきます。休耕地が増えて荒地が増え、街の風景が変わっていってしまうという危機感が生まれました。

たどり着いたのは、地域の農地を守っていくための販売方法

2復興した畑
昨年10 月にきた台風19 号の影響
で、山が崩れて土砂が流れ込んで
きた畑。従業員の努力もあり、今年
は栽培できるまでに回復した。

休耕地問題にぶつかり、会社としてチームになって大きい面積を管理していく必要があると考えました。広くても農地がまとまっているのであれば、家族経営でもいいと思うのですが、佐久市の多くは狭い面積の畑がほとんどです。広いエリアの中で何枚もの畑を耕作していくには人数が必要になります。それで会社としての農業を始めました。
そして、かぼちゃなら一人でも広い範囲で栽培でき、人数をかけずに耕作地を広げていけるので、かぼちゃを専門に作っていくことに決めました。最初は7町歩の広さでしたが、今は25 町歩になりました。畑の数でいうとおよそ200枚になります。

会社にするよさは何ですか?

大塚・福利厚生を整えているので、農業をやってみたいなと思っている人には安心して働いてもらえます。会社としては、規模が大きくなって人材が増えてくると休みもとれるようになるので、持続化しやすい体制になりますね。働きやすい環境があれば、ある程度の人数が確保できるので、休耕地となった地元の土地をなるべくたくさん活用していきたいと思いました。
すると、設立1年目で長野県内のかぼちゃの生産量がトップになっていました。そうすると、長野県のマーケティング室などが、県産のかぼちゃを探しにここに来て取引先を紹介してくれるようになったので、そういった面はよかったと思います。

3同級生
同級生ならではの軽快な掛け合いで話しをする2 人。

宮澤・ 同世代の人たちと一緒に仕事ができるので、農業を一から始めるという人も楽しめるんではないですかね。
実際に自分も実家がプルーンの果樹農家だったので畑の事は分からなかったのですが、お互い質問をぶつけたり、一緒に学んだりできたので新しい事を始めるのに抵抗はなかったです。

コンテナでの大量出荷も

販売先はどんなところがありますか?

4木と鉄
専用の木と鉄のコンテナいっぱいに収穫してくる。

大塚・量販店、スーパーマーケット、生協、八百屋、加工品製造販売会社などに卸しています。出荷がしやすく、規格の幅が広いなどといった販売先を開拓しています。
販売先によっては収穫で使う鉄のコンテナのまま出荷する所もあります。そうすることで出荷作業の手間が省けるので、作業効率がよくなります。また、取引先によって、規格などを分けています。品種は取引先の希望があって作り始めたものもあり、今では7種類ほど作っています。

次の時代の農業方法へ

後ろ姿佐久市の農業の形を変えていかないとこれからは厳しいかなと考えています。
構造上の問題としては、小さい畑が多かったり、山に田んぼがあったり、耕作地と土手の面積が同じような所があったりします。そういった所をなるべく周りの畑と併せて広くし、機械が入りやすい大きさにすることで、少ない人数で広範囲の畑が管理できるようになります。
もちろん、いろんな品種の野菜が高品質で作れるというのがこの土地のいいところではありますが、管理できない場所をまとめて同じものを作ることで、産地化ができ、それを若い人たちが行っているとなると注目も集まるんではないかなと。そんな活気のある農業を維持していけたらいいなと思っ ています。
先代たちが作ってきた畑が広がるこの風景を守るためにも、30年かけて次の時代の農業方法にシフトしていけたらと思っています。

かぼちゃの食べごろ

  • 基本情報
    • 代表取締役社長 大塚 悠
    •  従業員 10 名
    • 所在地 佐久市清川312番地1
  • 取扱商品
    • かぼちゃ
  • 販売先
    • 量販店、 スーパーマーケット、 生協、
      八百屋、 加工品製造販売会社
2020年11月14日