小さい頃から花が大好きだった鈴木さんがたどり着いたのは、〝五感で楽しめる花〞作り。
食卓を彩るエディブルフラワー(食用花)のニーズは今後益々高まっていきそうです。
花の美しさに魅せられて
就農何年目ですか?なぜ花農家になろうと思ったのですか?
花を作り始めてから14年になります。親戚が園芸店を営んでいて、昔から花に限らず植物を育てることが好きでした。また美しいものに興味があって、デザインの仕事に就いて色を扱うようになってから、花の自然な色の美しさに魅せられて、花農家になろうと決めました。
この場所で始めたきっかけは何ですか?
前の仕事をやめてから一年間は日本中を旅して回ったんですが、夏の信州がとても気持ちよくて、こういうところに住めたらいいなと感じ、ここで農業をやることができたらと考えました。その後、小諸市の農業大学校で勉強をしていた時に、今の土地が空きそうだという情報を得たので借りることにしました。
オーガニックフラワーへの道
栽培している花は全てオーガニックということですが、なぜオーガニックにこだわっているのですか?
最初は純粋に美しい花を作りたいと思っていたので、農薬を使うことは何とも思っていなかったですし、そもそもオーガニックという言葉をよく知らなかったんですけど、研修中に薬剤をかぶって死にそうなくらい大変な目にあいました。ですから、農業を続けていくには、身体に無理をして農薬を使っていくか、農薬を使わないオーガニックでやるかの選択の中で、必然的に後者になりました。その結果、観賞用に栽培している花もエディブルフラワー(食用花)として食べられます。ただし、エディブルフラワーの需要はまだまだこれからで、切り花として市場に卸すのがメインで、次に花屋などになります。エディブルフラワーとしては全体の一割程度の卸になります。ただ、年々ニーズが高まってきていまして、レストランやホテル関係の方に直接現場に来ていただいたりしています。
花を食べる《五感で楽しめる花》への挑戦
エディブルフラワーに留まらず、花入りのドレッシング「Flower Kiss」(上の写真)も作られていますが、完成までのストーリーを聞かせてください。
五感で楽しめる花というのをうたっていたなかで、いつかは食をやりたかったということと、雪害にあった時に新たに設備投資ができない中で、ただ花を栽培するだけではなく、安定した利益を得るためには何かをしないといけないなと考え、ドレッシング作りを始めました。
ただ、ドレッシングに花を入れてみただけではなく、より花を綺麗に見せるというところを意識した時に、結構苦労はしました。油や酢で変化しない状態を保てる品種の花を見つけるまでに何十種類と試しました。
ようやく見つけたのがカレンジュラという花で、ドレッシングの中にずっと入れていても花の色が変化しないです。油とも相性のいいビタミンAが豊富なおかげなんですが、ビタミンAの含有量は、野菜の中でも多いとされるパセリを上回り、スーパーフードと呼べると思います。味は、料理人に監修してもらい、りんご酢を使用しているので柔らかい仕上がりです。
食材としての花
生産するうえでのこだわりは何ですか?
草生栽培であまり手を加えずに自然界の営みに委ねています。草は悪天候や病気に強いので、余計なストレスが花に集中せずにみんなで分かち合うことができます。長すぎて刈った草は、雑草よけになり、枯れれば自然の肥料となって土に還ります。
あとは、見た目の綺麗さだけで止めておかないということですね。最初に鑑賞していただいて、枯れる前に食してもらう、というように花も食材として見てもらえるようにしていきたいです。五感で楽しんでいただくためには、オーガニックであるということが重要なんですよね。
また、寒暖差の大きい佐久市は花の色のノリが良く、花の香りや色のノリ具合で微妙な味の差が生まれてきます。花によって味も違います。カーネーションは香りが良く、多彩なので色ごとに味や見た目の変化がつけられ、カメレオンみたいな存在ですし、コスモスはジンジャーに似たスパイシーさがあります。そういった違いも楽しんでいただければ嬉しいです。
※花屋で販売されている花は人体に有害な農薬を使用している場合があります。決して食べないようご注意ください。
Suki Flower Farm
- 代表 鈴木 義啓
- 従業員 1名
- Mail email hidden; JavaScript is required
- 所在地 長野県佐久市前山1163-3
- 取り扱い商品
- 切り花(オーガニックフラワー)
- 食用花(エディブルフラワー)
- 花の加工食品ブランド「Flower Kiss」
- 販売先
- 花屋、レストラン、ホテルなど畑での引き渡し、または配送も可