ベジアーツ

株式会社べジアーツ

1965年に創業。当時は北佐久園芸出荷組合という社名で切り花を流通させていた。その後、時代と共に業態も変わり、直営農場中心に収穫した農産物を事業者などと直接に契約販売するようになった。2015年に株式会社べジアーツとなる。社名の由来は、自分たちが育てている人・土・野菜すべてが作品であるという思いを従業員に意識してもらうために、ベジタブル(野菜)+アート(芸術) を組み合わせたものだという。その思いのもとに集まった魅力ある若者たちが生き生きと働き、野菜を育てる姿に、この地域の農業の明るい未来を感じることができる。

山本裕之さんは家業でもある会社に2002年に入社し、野菜の生産現場を任されました。現在は代表取締役社長となった山本さんに、それまでの道のりと経営に対する考えや思いを聞いてみました

春レタスの一品種「ウィザード」。 その場で食べたレタスは甘さが口に残っていた。
浅間山が一望できる畑。

御代田町から離れて暮らしていたのですが、会社の規模拡大のために帰郷して入社しました。会社を経営していくことを頭に入れながら規模を拡大していったのです が、その頃は「会社の成長=規模拡大」だと思っていました。しかし、それだけでは思った以上の成果は得られないこともあり、流通の効率化や販路の確保、ブランディング化、人材の育成など視野を広くして経営しないと成長はできないと考え直しました。
実は、従業員が定着せずにやめていってしまう時期があったんですが、そのときは自分も人材を単純な労働力としか見ていませんでした。そんな中、とても良い人材に恵まれて、「この人が短期でやめてしまうようなら会社の責任だな」と考え、会社の体制を見直し、改善して、良い人材が長く働けるように、またそういう人材を育成していくことに注力していきました。
そして、少しずつ人材が集まるにつれ、経営、営業、流通、事務、 生産など業務の細分化ができるようになり、それぞれが得意な分野や、やりたいことに責任を持ちながら仕事ができるようになりました。
分業化するにあたっては、それぞれの好きなことをふまえて配属を決めています。 農業が好きという人には現場を、 この会社が好き、この地域が好きという人には経理や流通などの管理の仕事を任せています。
また作業の重度や時間帯によって分けたりもします。パクチーやケールなどの軽い野菜は日中作業が多いので、家事や子育てに関わることが多い女性が中心になっています。なので、うちでは年配の方や主婦など幅広い雇用ができています。

ベジアーツならではの経営方針

山本さんが会社を経営していくにあたって大切にしていることはありますか?

「仕事を通じて人を幸せにする」を企業理念として掲げています。入社したばかりの社員であれば、まずは自分が幸せになることを考えて欲しいのですが、そのうち後輩ができ、お客さんができ、 家族ができるようになると、周りを幸せにしていかなくてはいけないですよね。いろいろな幸せについて考えられるようになって欲しいと思っています。

育成に関して

山本さんの明るさに引っぱられ、作
業場には活気が溢れている。

なるべく「任せる」ことを心掛けています。収量が予定数に達しなかった年は、それぞれが原因をしっかり考えて、なるべく、その考えを尊重するようにしたうえで、解決策を持って翌年に活かすようにしています。ただの丸投げにならないように、従業員間でSNSを使って情報共有したり、日誌には業務報告だけではなく感情を記入してもらったりして、それぞれが業務の中で困ったことや腑に落ちないことがないか、疲れていないかなどを私が感じ取って、 個別で話し合うようにしています。あとは、1日2回のミーティングの報告者や進行を順番に回しながら行うことで、私目線ですが、 個人の能力は高くなっていると感じています。

野菜作りに関して

肥料には特にこだわっています。この地域で季節に合わせてレタスを美味しく育てるために、オリジナル設計の肥料を使っています。畑もいろいろな場所にあるので、畑ごとに土壌分析をしてベースの肥料を調整し、その畑に合うものにしています。 オリジナル肥料は畑を始めた当初から使用していて、今は5代目の肥料になります。毎年の分析の結果次第では肥料を撒かないということもあるんですが、 そこまで肥料にこだわるのは、 レタスの味を大切にしているからです。父親が昔、料理人だっ たので、せっかく野菜を作るなら味にこだわりたいという姿勢だったんです。それが今でも引き継がれているんですね。

販売に関して

収穫されたレタスはスピーディーに
自社の冷蔵庫に収められていく。

社の方針として、消費者にきちんと商品のブランドを伝えている会社や地域密着型のスーパーなど、生産者の評価がされているところに販売させていただいています。あとはモスバーガーと共同で「モスファーム信州」を設立し、モスバーガー300店舗にレタスを卸しています。

山本さんが思う農業の魅力とは

御代田町を例にしてみれば、30年前と比べて就農者と耕作地は減少していますが、売り上げはそんなに変わっていません。これは農業の機械化や効率化が進んだおかげですが、1件当たりの農家の売上が増えていると考えれば夢がある職業だと思いますね。

 

 

入社のきっかけは何ですか?

「食」に関わる仕事をしたい。 そのなかでも農業に興味を持ち始めた頃に会社説明会に参加した事がきっかけでした。未経験者の私には、農業は男性が多いハードな仕事のイメージだった のですが、説明会で女性社員が生き生きと楽しそうに話しているのがとても格好良くて、自分も挑戦してみたいと思いました。

入社時と今の会社、山本社長の印象は?

入社当初の会社の印象は「整っている」でした。作業確認できるホワイトボード、道具の収納、朝礼や終礼、勤務時間、 日報。会社としては当たり前のことですが、農業の現場はもっと散らかっていて勤務時間も定まっていないイメージだったので、整った環境のなかでの仕事はとてもやりやすかったです。 今の会社はASIAGAPも 取得し、更に安心安全に働くことができるよう仕組みも整えられてきました。働く人の数も増えたので多様性が求められてきていると感じています。 社長の印象は入社当初も今もあまり変わりません。忙しいなかでも皆に声をかけて気にかけて下さっています。社員とは毎月、1人ずつ面談もしています。 以前は一緒にレタスを収穫する機会があったのですが、最近はないので少し寂しいです ( 笑 )。

会社の魅力は?

「人のちから」だと思います。 ベジアーツは様々な人が働いています。21歳から65 歳まで、出身地も職歴も皆それぞれ異なります。それぞれが今まで学んできたこと、経験してきたことを生かして活躍しています。 若い人が多く活気があることも魅力のひとつですが、経験豊富な方から学ぶことが出来る環境があることも魅力的だと感じています。

将来の目標などあればお願いします。

世代を問わず幅広い年齢層のお客様に選ばれるものを、丁寧により美味しく作っていきたいです。

 

 

入社のきっかけは何ですか?

6年間シーズンスタッフとして働いてきて、より自分の力をこの会社で発揮したいと思ったからです。

入社時と今の会社、山本社長の印象は?

今も昔も変わらず明るい! 人を惹きつける力がすごい!

会社の魅力は?

会社の雰囲気が明るくて働 きやすいです。この会社にいれば仕事の技術もそうだけど人としても成長できると思えます。

会社に入ってからの一番の 思い出は何ですか?

初めての植え付け ( レタスの苗の定植 ) に1枚1時間もかかったことです。

将来の目標などあればお願いします。

たくさんのことを学び、楽しみながら、皆から信頼され、 憧れられる人になることです。

ベジアーツ

  • 基本情報
    • 代表取締役社長 :山本裕之
    • 従業員 : 32 名
    • 所在地 : 御代田町大字馬瀬口94-4
    • URL http://vegearts.co.jp
    • Tel : 0267-32-2212
  • 取り扱い商品
    • レタス、白菜、ほうれん草、パクチー、ケール
  • 販売先
    • 株式会社デリシア、焼肉の家マルコポーロ
2020年6月8日